ルドルフ・ヘスとその家族の日常を描いた映画『関心領域』って?

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※本記事は映画のネタバレを含みます。

『関心領域』とは

第96回アカデミー賞2部門受賞作品。

原題『The Zone of Interest』

原作はイギリスの作家、マーティン・エイミスの同名の小説です。

The Zone of Interestとは、第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ強制収容所を取り囲む40平方キロメートルの範囲を指す言葉である。そこには収容所で働くナチス親衛隊が暮らしていた。

2024年に公開された、『関心領域』は、アウシュヴィッツ収容所のすぐ隣にある邸宅で暮らしていた所長ルドルフ・ヘスとその家族の生活が描かれている。

収容所の「外側」の世界が描かれている作品だ。

ナチス・ドイツに関する作品は数多く存在するが、切り口が違い無関心であることの恐ろしさを感じる作品である。

日本語版はAmazon Primeで配信されています。

舞台

アウシュヴィッツ強制収容所のすぐ隣にある邸宅が主な舞台だ。

自宅からは、アウシュヴィッツを囲む壁、有刺鉄線、煙突から出る煙まで見える。

邸宅には庭があり、野菜や花を育てている。

アウシュヴィッツ強制収容所の所長であるヘスは、自宅から馬に乗って出勤する。

誕生日には親衛隊員が邸宅を訪れ祝う。

時には、仕事の打ち合わせを自宅内ですることもあった。

家族が過ごしている自宅で、24時間稼働の焼却炉の具体的な話し合いが行われていることにゾッとする。

仕事のシーンとは対照的に、週末には家族でピクニックに出かけるなど、良き父という側面が描かれている。

どのような仕事の内容であっても、家族のために働く父なのだ。

子ども達を連れて川へ遊びに行った時、収容所から流れてきたであろう人骨を発見する。

ヘスは見つけるとすぐに川から出て、子ども達にもすぐに出るように告げ、その場から離れていく。

所長という立場から、骨を見つけても拾って投げ捨てれば「異常者」であろう。

しかし、彼の反応は一般人の反応とほぼ同じであった。

我々が、収容所所長の立場にもなり得るのだ。

来訪者

ルドルフ・ヘスの妻ヘートヴィヒ・ヘスの母が、娘を訪ねてくるシーンがある。

始めは、ヘス一家の素晴らしい家と庭に感心し、娘の幸せを喜んでいた。

しかし、夜になって異変が起こる。

眠ろうとしても、24時間稼働している火葬場からの煙の匂いや炎の光で眠ることができないのだ。

毎日その環境下に置かれ、慣れてしまっているヘスの子どもたちはぐっすりと眠っている。

絶えず聞こえてくる収容所からの銃声や叫び声に耳を塞ぎたくなる母親は、ある日黙って娘の家を去ることにしたのである。

一方、ヘートヴィヒ・ヘスは、この邸宅での生活を長年待ち望んでいた「理想の生活」であると考えており、転属となった夫にはついていきたくないと単身赴任するように提案する。

見たい現実しか見ないと、どんなに不幸な生活が近くにあったとしても、自分は幸せに暮らせるのだ。

ここまで極端ではないとしても、現在も同じような環境はあるのではないだろうかと考えさせられる場面であった。

夜のシーン

サーモグラフィを使った夜のシーンが複数回挟まれている。

ポーランド人の女性が、収容所の人達の作業場にりんごなどの食べ物を配置していくのだ。

見つかってしまえばただでは済まないのに、行動にうつすことができた心優しい女性の姿が、サーモグラフィを用いて表現されている。

ラストシーン、現代へ

着実にナチスで昇進していく軍人のヘスが、映画の終盤になり吐き気をもよおす。

現在の博物館となっているアウシュヴィッツ強制収容所内を清掃している場面に移り代わる。

彼は自分が行ってきたことが現在の結果になると、薄々感じていたのだろうか。

興味深い作品だった。

関連書籍

原作『The Zone of Interest』

所長であるヘスは死刑となったが、執行前に本人が書いた手記がある。

終わりに

『関心領域』の感想でした。

気になる方は、Amazon Primeをチェックしてみてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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